株式会社名村造船所は、株式会社商船三井のグループ会社であるシンガポール法人PHOENIX TANKERS PTE. LTD.とLPG(Liquefied Petroleum Gasの略、液化石油ガス)も燃料として使用できる2元燃料エンジンを搭載した87,000m3型LPG・アンモニア運搬船2隻(註1)の建造契約を締結しました。本船は三菱造船株式会社との技術提携により、当社伊万里事業所にて建造し、2023年以降、順次竣工の予定です。

 当社は2000年台前半にLPG運搬船建造に初進出し、これまでに貨物である石油ガスを冷却と圧縮で液化して輸送するセミレフ式の8,600m3型1隻及び22,500m3型4隻、また冷却のみで液化して輸送するフルレフ式の38,000m3型1隻の中小型LPG運搬船3船型を段階的に建造してまいりましたが、大型LPG運搬船(Very Large Gas Carrier)建造は初めての取組みになります。今回建造予定の87,000m3型LPG運搬船は世界でも最大規模の船型であり、当社がこれまで建造してきました中小型LPG運搬船における知見と経験を下に、大型LPG運搬船の豊富な建造実績を有する三菱造船株式会社との技術提携を以て建造を行います。

 本船は、国内主要LPGターミナルへ入港可能とする最大船型をベースにしつつ、積載貨物タンクは従来の83,000m3から87,000m3へ大型化しており、2元燃料主機関の採用に加え、推進効率の最適化を図ることで、LPGを燃料として使用する場合、従来の重油燃料船と比べて排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)を約90%、二酸化炭素(CO2)を約20%、窒素酸化物(NOx)を約20%の削減が見込め、国際海事機関が定めるEEDIフェーズ3(註2)にも適合する環境面を考慮した最新鋭船であり、次世代のクリーン燃料として注目されているアンモニアの積載も可能とした仕様となっております。

 当社は、地球環境に優しい船づくりによる持続可能な社会の実現のために、環境負荷低減を当社経営の最重要課題の一つと位置付けており、2050年カーボンニュートラルを掲げる政府方針に沿い温室効果ガスの排出削減を目指します。また、お客様のご期待に応えるべく、次世代燃料船の開発にも積極的に取り組み低炭素社会の実現に貢献してまいります。

 

(註1) 2隻目に関してはオプション契約

(註2) Energy Efficiency Design Index 規制。1トンの貨物を1マイル輸送する際の二酸化炭素排出量を示す国際規制で、本船の場合、新造船設計時に理論上の二酸化炭素排出量を基準値から30%削減することが要求される。

【本船概要】

全長

230.0m

全幅

36.6m

満載時喫水

12.0m

積載容量

約87,000㎥

主機関

MITSUI-MAN 6G60ME-C10.5-LGIP